技術開発は成功しても、事業化につながるとは限らない ― 開発現場で感じたFSの重要性

新しい技術を開発する際には、PoC(概念実証)などを通じて技術的な実現可能性を確認することがあります。しかし、技術的に優れたものが開発できたとしても、それが製品として世の中に出るとは限りません。
私自身、若手エンジニアの頃に、そうした経験をしたことがあります。

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顧客は誰ですか?

若手エンジニアの時代、上司の指示で高度な技術を盛り込んだ試作品を開発したことがあります。
詳しい内容は書けませんが、当時、同じ目的に向けて別の技術を開発しているチームもありました。
つまり、同じような製品を目指して、異なる技術を使った開発が並行して進んでいたわけです。
私自身も開発を進めながら、もう一方の技術の方が顧客にとって優れているのではないかと感じていました。
それにもかかわらず、開発リソースを二つに分けて並行開発することには疑問がありました。

結局、もう一方の技術を採用した製品がリリースされ、私が携わった技術は製品化されませんでした。
もちろん、当時の会社には複数の技術を並行して開発する理由があったのだと思います。
しかし、顧客の立場から見れば、どちらの技術を採用すべきか、もっと早い段階で判断できたのではないか。
そんな疑問が残りました。

FS(実現可能性調査)の重要性

この経験を振り返ると、開発に着手する前のFS(Feasibility Study:実現可能性調査)が重要だったのではないかと思います。
FSでは、技術的な実現可能性だけでなく、市場性、顧客のニーズ、事業としての採算性などを検討します。
私が経験した開発では、少なくとも現場から見える範囲では、そうした検討が十分に行われているようには感じられませんでした。
会社としては、技術的なリスクを分散するために二つの開発を並行させたのかもしれません。
もちろん、大企業であれば複数の技術を並行して開発する余力があり、それが有効な場合もあります。
しかし、ほとんどの企業では、開発に投入できる人員や予算に限りがあります。
限られたリソースをどこに投入するかを判断するためにも、開発前のFSは重要です。

技術開発を始める前に、顧客にとっての価値と事業としての可能性をどこまで見極められるか。
新規事業を進めるうえで、今でも重要だと考えていることです。

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